ダイエットが原因で生理が来なくなる現象は、「無月経(アメノリア)」として知られています。この状態が起こる理由は、複数の生理的・ホルモン的要因が絡み合っているためです。ダイエット、特に極端な体重減少や急激なカロリー制限が生理周期に与える影響について説明します。
1. 無月経の原因としての体脂肪率の低下
体脂肪率は女性ホルモン、特にエストロゲンと密接に関連しています。エストロゲンは卵巣から分泌され、月経周期や妊娠に重要な役割を果たしますが、体脂肪が一定量以下になると、エストロゲンの分泌が減少します。
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体脂肪率とホルモンバランス
体脂肪率が急激に低下すると、体がエネルギー不足と感じ、ホルモンの分泌が調整されます。特に、エストロゲンは脂肪組織での生成が重要なため、体脂肪が少ないとその生成が制限され、月経が停止することがあります。
研究によると、体脂肪率が20%を下回ると、無月経のリスクが増加します。例えば、アスリートなど、過度にダイエットを行っている女性に多く見られます。
2. 食事制限によるエネルギー不足
過度な食事制限は、エネルギー不足を引き起こします。これにより、体が「飢餓状態」と判断し、生理の停止を引き起こすことがあります。
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エネルギー不足とホルモン
エネルギー摂取が不十分だと、体は生存に優先すべき機能を調整します。生理は妊娠可能性を維持するための機能であり、エネルギー不足の状態では妊娠の準備をすることができないと判断されるため、排卵を停止させ、結果として月経が止まります。
一部の研究では、摂取カロリーが基礎代謝量を下回ると、LH(黄体形成ホルモン)やFSH(卵胞刺激ホルモン)の分泌が低下し、これが無月経に繋がることが示されています。
3. ストレスとホルモンの関係
ダイエット中のストレスも、生理不順や無月経を引き起こす要因となります。過度な運動や厳しい食事制限が精神的なストレスとなり、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が増加します。
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コルチゾールと生理
高レベルのコルチゾールは、脳の視床下部や下垂体に影響を与え、これが性ホルモンの分泌を調整するため、月経周期に影響を与えることがあります。コルチゾールが過剰になると、ホルモンのバランスが崩れ、無月経を引き起こす可能性があります。
4. エストロゲンとプロゲステロンの役割
エストロゲンとプロゲステロンは月経周期を調整するホルモンですが、ダイエットによりこれらのホルモンの分泌が不安定になることがあります。
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ホルモンの不均衡
体脂肪が極端に減少すると、エストロゲンが十分に分泌されず、卵巣からの排卵が停止します。その結果、月経が止まります。さらに、ダイエットに伴うストレスやカロリー制限が視床下部や下垂体を刺激し、LH(黄体形成ホルモン)やFSH(卵胞刺激ホルモン)の分泌を妨げるため、卵巣の機能が低下し、無月経となるのです。
5. 体調の変化と生理周期の乱れ
急激な体重減少や食事制限によって、体調が不安定になり、それが生理周期に影響を与えることがあります。体重が急激に減少すると、体が「飢餓状態」にあると認識し、体調を守るために月経を止めることがあります。
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生理周期の乱れ
ダイエットによる体重変動が大きいと、生理周期が不安定になり、時には無月経が長期間続くこともあります。急激な体重減少が生理に与える影響は、個人差が大きいものの、体重が標準的な範囲から外れた場合、月経が完全に停止することもあります。
6. 脳と月経の関係
月経周期は脳からの信号によって調整されています。視床下部は体のエネルギー状態を監視し、それに基づいて生理周期を調整します。ダイエットによる体重減少やカロリー制限は、脳に「エネルギー不足」を知らせ、月経が停止することがあります。
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視床下部の反応
ダイエットによって、視床下部がエネルギー不足を感知すると、月経を制御するホルモンの分泌を減少させ、卵巣が排卵を停止します。これにより、月経が来なくなることがあります。
結論
ダイエットが生理に与える影響は、体脂肪率、エネルギー摂取量、ストレス、ホルモンのバランスなど、複数の要因が関与しているため、無月経のリスクは個人差があります。しかし、過度な体重減少やカロリー制限は、体が生理を維持するために必要なエネルギーを確保できなくなるため、月経周期に大きな影響を与えます。生理が止まった場合、身体はエネルギーが不足していると認識している可能性があり、健康に悪影響を及ぼすこともあります。無月経が続く場合は、専門の医師による相談を受けることが重要です。
このように、ダイエットが生理不順や無月経を引き起こす理由は、ホルモンのバランスが崩れること、体脂肪率が低下すること、エネルギー不足が関係しています。
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