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肥満は病気の一種。ダイエットと生活習慣病の深い関係

現代社会において、「肥満」は単なる見た目の問題では済まされない深刻な健康問題として注目されています。日本を含む多くの国で肥満の人が増加しており、それに伴って生活習慣病の患者数も年々増加しています。「肥満は病気なのか?」という問いに答えることは、私たちが健康とどう向き合うべきかを見直す重要な手がかりになります。

この記事では、肥満の定義、生活習慣病との関連、そしてダイエットによる予防・改善の可能性について、医学的な視点とともに解説していきます。

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肥満の定義と分類

肥満とは、体に過剰な脂肪が蓄積された状態を指します。医学的には、主に**BMI(Body Mass Index)**を用いて肥満の有無を判断します。BMIは体重(kg)を身長(m)の二乗で割った数値で、一般的に以下のように分類されます。

  • BMI 18.5未満:低体重(痩せ)

  • BMI 18.5〜24.9:普通体重

  • BMI 25.0〜29.9:肥満(1度)

  • BMI 30.0〜34.9:肥満(2度)

  • BMI 35.0以上:高度肥満(3度以上)

日本肥満学会の基準では、BMIが25以上を肥満と定義していますが、単に体重が多いということではなく、「健康リスクを伴う脂肪の蓄積」である点が重要です。

肥満は病気か?

WHO(世界保健機関)は、肥満を「慢性の代謝性疾患」と定義しています。つまり、肥満は単なる「生活習慣の結果」ではなく、「治療や予防が必要な病気」なのです。特に内臓脂肪型肥満(腹部に脂肪が集中するタイプ)は、さまざまな病気の発症リスクを高めることがわかっています。

また、アメリカ医師会(AMA)も2013年に肥満を正式な「疾患」と認定しました。これは、医療機関での対応を強化し、保険制度の対象とすることで治療へのアクセスを改善する狙いがあります。

このように、世界的に肥満は「病気」として認識されており、適切な診断と治療が必要とされる時代になっています。

肥満と生活習慣病の密接な関係

肥満は多くの生活習慣病と密接に関係しています。代表的なものを以下に挙げます。

1. 糖尿病(2型)

肥満と特に深い関係にあるのが2型糖尿病です。脂肪細胞が増えると、インスリンの働きが悪くなる「インスリン抵抗性」が生じ、血糖値が下がりにくくなります。内臓脂肪の多い人は、膵臓に負担がかかり、糖尿病を発症しやすくなります。

2. 高血圧

肥満によって血液量が増加し、血管への負担が高まり、高血圧になりやすくなります。さらに、脂肪組織から分泌される物質が交感神経を刺激し、血圧を上昇させる作用もあります。

3. 脂質異常症(高脂血症)

肥満は血中の中性脂肪やLDLコレステロール(悪玉コレステロール)の増加を引き起こします。一方でHDLコレステロール(善玉)が減少し、動脈硬化のリスクが高まります。

4. 心疾患・脳卒中

上記の症状が重なることで、冠動脈疾患(心筋梗塞・狭心症)や脳卒中(脳梗塞・脳出血)などの重大な循環器系疾患のリスクが飛躍的に高まります。

5. 睡眠時無呼吸症候群(SAS)

首回りに脂肪がつくことで気道が狭まり、睡眠中に無呼吸状態になることがあります。これは日中の強い眠気や、心疾患のリスク要因にもなります。

肥満が引き起こすその他の健康リスク

生活習慣病に加えて、肥満は以下のようなさまざまな健康問題にも関与しています。

  • 関節疾患(変形性膝関節症など):体重の負担が関節にかかる

  • 不妊症:ホルモンバランスの乱れによる

  • 脂肪肝・肝硬変:非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)が進行する場合も

  • うつ病や自尊心の低下:精神的な問題にも影響を与える

ダイエットによる生活習慣病の予防と改善

肥満が病気である以上、その治療や予防の中心となるのが「ダイエット」です。ただし、ここでいうダイエットとは「短期的な減量」ではなく、「持続可能な生活習慣の改善」を指します。

1. 食事療法

食事の見直しは、ダイエットの基本です。糖質や脂質の過剰摂取を避け、食物繊維、良質なたんぱく質、ビタミン・ミネラルをバランスよく摂取することが重要です。日本では、「地中海食」や「和食」が健康的な食事スタイルとして注目されています。

2. 運動習慣の確立

有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、水泳など)は脂肪燃焼に効果的です。筋トレも基礎代謝を高め、リバウンドを防ぎます。無理のない範囲で、継続可能な運動を習慣化することが鍵です。

3. 睡眠とストレス管理

睡眠不足は食欲を増進させるホルモン(グレリン)の分泌を促し、肥満につながります。また、慢性的なストレスも過食やホルモンバランスの乱れの原因になります。

4. 医療的アプローチ

高度肥満や合併症がある場合には、医師の指導のもと、薬物療法や手術療法(胃縮小術など)も選択肢となります。近年では、GLP-1受容体作動薬(例:リベルサス、ウゴービ)など、食欲を抑える薬剤も利用されています。

社会的視点:肥満と偏見

肥満に対する偏見や差別(fat shaming)は、当事者の精神的健康を損なう深刻な問題です。肥満は自己責任であるという誤った認識が、社会的な孤立やうつ病を引き起こすことがあります。肥満を「病気」として正しく理解することは、偏見を減らし、より包括的な健康支援を提供する基盤となります。

まとめ

肥満は単なる体型の問題ではなく、明確に「病気」として認識されるべき健康状態です。特に内臓脂肪の蓄積は、糖尿病や高血圧、心疾患といった生活習慣病と深い関係があります。予防と治療には、食事・運動・睡眠といった生活習慣の改善が重要であり、必要に応じて医療的サポートを受けることも選択肢となります。

「痩せるため」ではなく、「健康を守るため」に、私たちは肥満と正しく向き合い、ダイエットを一過性の行動ではなく、長期的なライフスタイルの改善として捉えることが求められています。

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